多重人格探偵サイコ

もともと漫画の方しか読んでいませんでしたが
小説は衝動買いで三巻とも。
最初に言っておきますが、これはもともと講談社で出た作品の方であり
他の作品に関してはまだ読んでいません・・・

 そんな訳で今回は小説です。それも多重人格探偵サイコ。
僕は浪人になってからかなり活字の本を読むようになったんですが、
その初めの方に読んだのがこれなんですが・・・もともと読書感想文とかが大の苦手な僕ですから
今回のレビューはうまくいかないとおもいますよ、ホントに。

 さて、今回の「多重人格探偵サイコ」ですが、実は三巻同時です。
「小林洋介の最後の事件」「西園伸二の憂鬱」「雨宮一彦の帰還」の三巻セット。
まだ終わってはいないんですが。
 もともとは角川コミックス・エースの方で漫画作品として世に出た「多重人格探偵サイコ」。
またTVドラマ化もされました。(僕は見ていませんが)
その小説版がこの三冊です。

 小説の前に漫画版の簡単な説明をしますと、ええっと・・・
・・・まず主人公は多重人格障害をおもちの刑事 小林洋介さん。
この主人公の小林さんは恋人の復讐の為(?)島津寿を射殺。
この時に小林洋介は消え、雨宮一彦が主人格となりました。
で、その雨宮さんとその体の中に居る何人もの人格を取り巻くストーリー。

 ・・・・・・なんかどっかで見たような感じですが、完全オリジナルです。
ところがこれではあまり説明にもなっていないんですが・・・まあ、漫画版の説明ですし(言い訳)

 さて、小説版の方なんですが・・・
この小説の最大の特徴は「大江公彦」ですね。
この大江さんがこの小説―本人曰く懺悔録―の作者、という一風変わった設定。
(しかも、この人も西園伸二の「押し」により人を殺しています(作中に小さく描かれている))
ちなみに、元オタクで、TV版では作中にでてくる「サイコ」の漫画の原作者となっています。
 面白いのは彼が「この小説の中で起こり得る全てを知る全能の語り部」だということです。
「彼」は時として自分の意見を言ったり、ちょっと口を滑らして謎を残したり・・・非常に興味を引かれます。
また、ここで注意したいのは「この本の読者」もかなりの所まで話の行く末を知っているということ。
この小説の中の時間は漫画版より前の話。
しかしその時点からかなりの所まで学窓会(敵?)は裏で動きまくってます。
何せ主人公が生まれる前から主人公のことをいろいろいじっているぐらいですから。
<追記>
 漫画にも出てきました、大江公彦。
なんとこの人、ルーシーモノストーンの生まれ変わりでした。また、小林洋介(久保田)の中の西園伸二を目覚めさせたのも公彦。
公彦が西園伸二を目覚めさせたとき、雨宮一彦はまだ目覚めていません。
また、伸二は記憶喪失で、一彦のことすらわかりませんでした。
とにかくまだまだ謎だらけ。

 第一巻「小林洋介最後の事件」は単行本でも話に出ている、刑事小林洋介が島津寿を殺し、
その罪で刑務所行きとなって、その刑務所で待ち受けていたストーリー。
馬鹿な暴力監守や、刑務所内で絶対的な力を持つニューハーフとその周り、
その軍団が仕切る謎の賭けゲーム、そのゲームを動かす謎の双子の女の子・・・・・・と、
かなりやばめな雰囲気。中身も相当サイコが入っていますが、
この巻の見所は・・・なんといっても裏で動いている西園伸二でしょう。
(これをいってしまうと小説版は全て終わりですが)
西園伸二とは(小林洋介の)身体の第二人格者。かなり危なく、そして強いです。
この人、この物語の中では全てを見切っているほぼ全能のキャラクターとして出てきます。
雨宮一彦が一生懸命考えたっていうのにすでに御見通し、っていう感じ。
また、双子の女の子も相当なものです。
なにせ、この賭け自体がこの双子が行なっているようなものですから。
 また、小林洋介の魂が消える事件、についても物語が進みます。

 第二巻「西園伸二の憂鬱」。
 この話は漫画のほうにはあまり関連していません。
関連性といえば・・・三巻に出てくるカニバリズム事件の犯人田辺友代の過去ぐらいですか。
この巻ではなんと漫画にも出てきていない人格、久保田拓也が出てきます。
ほんのちょっとだけ。
 ストーリーは多重人格者雨宮一彦に興味を持った精神科医伊園磨知だったが、
なんと何者かに雨宮と共に拉致されてしまう。
雨宮は犯罪専門の海賊FM局「ラジオ・クライム」のゲストとして出演することに。
 「ラジオ・クライム」の放送と共に街では次々と童話をモチーフと犯罪が起こる。
そんな中、事故から生還した磨知は高校三年生の頃に退行する。
高校三年生の頃にであっていた第四の人格、久保田拓也。
 「ラジオ ルーシー チルドレン」DJ純内聖人、磨知、雨宮の三人を繋ぐ一本の糸とは?
そして、この救いようもない連続犯罪の終末は?
 ・・・・・なんて感じ。これもなんか小説の裏表紙に書いてありそうな文章ですが、
しょうがないじゃん、国語力ないんですから。
 この巻では壊れた方々がめちゃくちゃな連続犯罪が起こします。
ラジオと一緒に物語が進んでいくのですが、最後の方はかなり急にはなしが展開します。
この巻では西園伸二はあまり出てきません。もちろんおいしい所だけ持っていきます。
今回は津葉蔵という磨知の大学時代の先生がでてきます。
この先生が表の親玉なんですが・・・・・・この先生もかなりかっこいいですよ。
こんな先生欲しいなぁ、なんて思いましたね。
もちろん裏の親玉は例の組織です。

 第三巻「雨宮一彦の帰還」
 この話はあのなんちゃってキャリア&御間抜けキャラ、笹山徹が死刑囚・焔妖子に
「ルーシー7の七人目を捜して。そして左目に見たことのないあざがあったらためらうことなく殺して」
と奇妙な依頼を受ける所からスタート。
1972年に起きた日本連合軍事件のときに生き残った赤ん坊は伝説のロックミュージシャン、
ルーシー・モノストーンの生まれ変わりなのか・・・
次々に出現する目にバーコードを持った犯罪者、謎の組織「学窓会」、
そして雨宮一彦の出生の秘密とは・・・
・・・・・・とまあ、非常に説明しにくい為、ついに裏表紙を引用しちゃいました。
というのも、この話はちょっと複雑で一回読んだだけではとても理解できませんでした。
(ちなみに僕は3周はしましたが・・・)
というか僕に理解できるんでしょうか、この世界。
 物語はかなり進んで・・・いるんでしょうか?漫画版でいえばまだ2巻ぐらいです・・・
しかし、あらたなルーシー7、二人目の雨宮一彦など、謎は深まるばかり。
 この巻で西園伸二の仕事がはっきりします。
なんと島津寿の殺人事件にも関係するという・・・おっと、ここまで。
個人的には一番好きな巻です。笹山さん、ちょっとカッコよ過ぎかも。
なにせ結婚して愛人をつくるぐらいだし・・・・・・(カッコイイかどうかは・・・)
この設定はTV番でも使われています。ちなみに最終的には妻、愛人、その息子も亡くなってます。

 とにかくオススメな三冊です。
もともと面白い作品だとは思っていましたが、小説版はより面白いです。
とくに好きな所は西園伸二がけっこう普通に描かれている所でしょうか。
雨宮一彦と同じように「あれ・・・俺として目覚めちゃった・・・」なんていうところは
ちょっと笑えます。また、漫画版であれだけ特別は人格として扱われているのと
小説版での普通にでてくる扱われ方の違いはかなり面白いものがあります。

 なにはともあれ、とりあえず、よんでみてください。
マンガとは並行世界で、漫画が好きな人には読みにくいかもしれませんが、
ルーシーモノストーンに傾倒していないので・・・

 ちなみに講談社から第四巻「渡久地菊夫の失敗」というのが発表されましたが、
原作者の大塚英志氏が「ださない」といっているので単行本になることはなさそうです。
第一章的なものは「雨宮一彦の帰還」の巻末についていますよ。
上記のストーりーは渡久地菊夫がアメリカでルーシーモノストーンの幻の音源を見つけるところから
「最後」まで、です。

俺的総合評価 ★★★★★
読みやすさ   ★★★★☆
一気読み度   ★★★★★
理解しやすさ  ★★★☆☆
オススメ度   ★★★★★
一言
ホント、漫画版から入ったほうが無難ですが・・・
オススメの三冊。

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