Sound-Rider

「刃ノ燈火、慟哭ノ空」

舞台音響(プラン)

淡海乃海ポスター

公式HP

スタッフ、出演者はHPを参照ください。
主催:TEAM風雷Bow
脚本:梨木吉祥
演出:TEAM風雷Bow
舞台監督:あべし
音響:G-acoustic
殺陣オペレーター:篠崎章宏
照明:江見千尋
美術:大本廣貴
映像:林琉斗
殺陣:桐山トモユキ
当日運営:あおきいおり(劇団KⅢ)
会場:萬劇場

<出演>
吉野哲平(ジャスティスジャパンエンターテイメント,刀屋壱)
田中温子(NEXTAGE)
滝沢信(百學連環)
小林聖尚(ジャスティスジャパンエンターテイメント)
花崎ちづ(SPIRALTHARIOTS)
鶴見直斗
名倉周(@emotion/メグルキカク)
透舞銘夢(相模舞台同盟)
井下康平(夢散素)
藤本貴行(単二乾電池)
増田悠那
長谷川裕
小山ごろー
わたなべそう

堺野恭子
ネロ
下田愛璃
竹内花笑
小野友花里
和泉學人(Z-DASH)
黒須みらい
村尾敦史(偉伝或~IDEAL~)
大地翔悟
西山大地
清水龍平
長谷友明
桐山トモユキ(TEAM風雷Bow)
和世レオ(TEAM風雷Bow)
大石瑞記(TEAM風雷Bow)
(公式HPより)

資料

淡海乃海_仕込み図 回線図

ざっくり解説

概要

 和世さんと桐山君率いるTEAM風雷bow、D倉庫の公演に続き2回目の参加です。今回は前回の作品の前哨譚、和風ファンタジーです。
サンプラーも前回に引き続き、篠崎さん。安心。
 前回はD倉庫で、SPの吊位置が高く音像が上がってしまい色々苦労しましたが、今回は先回りして殺陣音の音像を下げる用のSPをすでに準備しました。これの効果はかなり大きいです。あとはこのSPがお客さんに当たりすぎないようにEQや向きなどでコントロールするといい感じです。
この団体は、2時間ほとんど戦ってるんじゃないか、というぐらいエネルギー出しまくりな作品を作ります。また、大人数での乱戦も多いので、2箇所や3か所同時に戦うがとても多いです。ですので、オペレーターも殺陣音に参加します。大変。僕としては、3か所目はさすがに音はいらないかなと思ってます。映像なら話は違うんですが、演劇だと音が飽和するだけですからね。
 今回は前回の前日譚なので、効果音も前回の作品から一部引き継ぎました。といっても、お客さんが前回見ているわけでもないので、そこまで重要視しているわけではないですが。。。また、選曲でも結構前回の音楽を使っていて、なんとなく前回見た人が感じ取ってくれればなぁ、と思います。
そして、実は今回以前からずっとやりたかったことを実行に移しました。それは。。。。赤ちゃんの声をあかちゃんの人形に仕込んで音を流す!
前々からやってみたかったので、ついに形になりました。その結果は!!!!下↓をご覧ください。

サウンドプランについて

 この団体は大人数で楽しく(?)乱戦をするのが多い団体で、今回もそういう作りの作品でした。その戦いの中で、如何に生き如何に死ぬか、というのを見せてくれる作品です(ちなみに、毎回結構な人数が死にます。演劇ですし多少はね)。演劇っぽいなとは思っています。作りとしてはエンタメ舞台、になるのでしょうか。
 そういう作品の中で音響的にやることは、大音量で大人数のエネルギーに負けないように頑張ることです。殺陣を含むかっこいいシーンではかっこよく、悲しいシーンは悲しく、怖いシーンでは怖く、というBGMと効果音が耳障りにならないかつエネルギーを届けられる音を目指しました。BOSEのB1は30~40hzあたりのウルトラローが出るタイプのウーハーではありませんが、小さくステージの邪魔をしないのに、ちゃんと迫力も出せますし、床に置けるので音の違和感も減る小劇場向きのウーハーだと思ってます(なのでBOSEさん、B2を日本でもだして)。 また、呪文や、銃など、実際に出てはないものを音とお芝居で表現するのですが、その音を如何に違和感を少なくお客に届けられるか、というのが今回の作品では意識しました。できるだけ音の出所を役者に合わせて、だいたい役者のあたりから音が出ているようにする、もしくは、役者より前に音がある感じを減らすのをプランの目標にしました。萬劇場ぐらいがギリギリそういう細かい音の出所をお客さんの半分ぐらいに伝えられる大きさかなと思っています。これ以上大きな劇場だと伝えられる人数が減っていくので効果が薄くなっていくと思っています。
 そして、その極みが赤ちゃんの人形(今回は毛布の塊でしたが)にスピーカーを仕込む、でした。その人形から音が出ればこれ以上再現性が高いものはないはず!とおもってやってみたのですが。。。
 結果を先に言ってしまうと、非常に良いものでした。ただし、前列3列ぐらいのお客様からすれば。
 というのも、ちょっと距離があるとメインSPで流した音と聞こえが変わりませんでした。 舞台袖(図面でいうと上手パネル裏)で赤ちゃんが泣いて、それをキャラクターの一人が聞いて迎えに行く(人形を取りに行く)のですが、客席後方のお客さんからするとSPでパンを振った音との差があまりありませんでした。なので、わざわざ後述の機材を借りてまでやることではないかなと思います。(スピーカーから流す音声である限り、そこまでの再現性はないのかなと予想します。本物の赤ちゃんの声なら別かもしれません。)
  え?じゃあいらないのかって?いえいえ、僕的には大成功です。前列のお客さんへのアプローチはとても大事だと思ってますから、数人にでも効果あれば大成功です!機材もともと持ってたし。(こういうことやってるから機材が増えていくのです(´・ω・`)

システムについて

〇卓周りについて
 卓はLS9-16、M出しPCはMacBookPro15"(Ableton Live10)、I/OがpresonusStudio192、LS9との接続はadat×2です。9ch以降のadat出力のDAにはPresonus DIGIMAX FSを使用してます。ちなみに、WordClockのマスターはstudio192にしています。。送りについてはほぼ表記通りですね。トンビは上空を飛んでいるので主にプロセから出しました。赤ちゃんの泣き声については上記した通り、赤ちゃんの人形にワイヤレスイヤモニ+スピーカーを仕込んであります。これについては後述します。
サンプラーは篠崎さんの持ち込みです。音出しソフトは同じabletonLive10をつかい、X-AirをUSB接続して、I/Oとして使っています。送りは殺陣、メインSE、奥SEの6chです。これを内部で組み合わせて音を作っていました。また、映像はPC(ソフト:QLab)で出していて、音はI/Oを通しています。
〇アウトについて
 メインSPはCZR12(amp;yamaha PX5) 、SUBはBoseのB1×2(amp yamaha PX5)。萬劇場では僕の中でおなじみになってきた組み合わせです。B1.。。小さくて良いウーハーなんですけど、誰にも知られてないんだよなぁ(;´・ω・)なお、今回からB1のアンプもPX5にしてみました。PLX1602よりも出力に余裕があるからなのか、それともデジタルアンプとB1の相性が良かったのか、綺麗に鳴ってくれている気がしています。B1は13センチウーハーで低音を出すというBOSE特有の超技術を使って鳴らしているので、デジタルアンプで細かくならした方があっていたのかなぁと勝手に妄想してます。13cmって、6inch以下なのに、どうやって鳴らしてるんですかね(笑
 奥にはCBR10をワイヤー吊しています。CBR10にはM8のねじ穴が開いており、アイボルトを入れてワイヤーで吊るとそのまままっすぐ吊られてくれます。角度をつけたいときはバインド線などでかるく引っ張ってあげてもよいかもしれません。今回はワイヤーの吊り方で左右だけほんの少しだけ角度をつけていますが、縦の振りはそのままです。また、1,5階(+1500)に人が立つと結構な高さになるので、ワイヤーも50cmのものをさらにもう一巻きしてあげてあります。
 殺陣用SPは階段の中に置きました。照明さんもフットライトを置いているので、照明さんと相談の上に置きました。床にSPを置くときは、人が倒れた時に直接耳に入るような角度や高さから逃がす必要があります。どうしてもできないときは役者さんに耳を向けないように言って気を付けてもらってください。また、殺陣音を送りすぎるとPCCに音が行き過ぎることになるのでそれも注意です。
〇マイクについて。
 萬劇場は劇場の高さがあり後ろを向くとなかなか聞こえないし、無理して後ろに飛ばしてもらうのも役者さんがつらいとおもうので後ろ向きのマイクを入れました。それに合わせて、表にもマイクがないと不自然になるので舞台面にPCCを置いています。なお人数が多いので、自作のPCC台を作り舞台上から出してあります。また今回過去の回想シーンでは一部の人にエフェクトを書けています。そういうときにこのようにまんべんなくマイクを置いておくとどこでしゃべってもエフェクトがかかるので便利です(ON/OFFは大変ですが)。ちなみに、マイクの音量はそこまで稼いではいません。生声にふわっと足している程度です。
〇あかちゃんSPについて

ShurePSM300とSP Shure PSM300とパワードSPの組み合わせ

左の写真が実際につかったものの組み合わせです。Shure PSM300とパワードSPを組み合わせました。このパワードSPはもともとはBluetooth接続の20WパワードSPで、さらにAUX入力としてステレオミニフォン入力がついているものです。アウトドア用途などが多いのでしょうか、低音の振動がかなり強い音が出ます。ただ、そのあたりはミキサーのEQで切りました。出力は20Wになっていましたが、そこまで大きい感じはしません。ただ、赤ちゃんの声としては十分すぎるぐらい大きい音が出ました。また電池も10時間ぐらい持つそうで、舞台で切れてしまう、ということはありませんでした。
 実際の音のミックスですが、多少ですがメインSPからもこぼしています。先述しましたが、この赤ちゃんがいる位置は、舞台上上手袖の奥で泣き始め、役者が赤ちゃんを抱きかかえ出てくるという形でした。ですので、パンをRに振り、メインからもすこしだけ出しました。また、音が出なかったエマージェンシーとして内部パッチでメインに流すトラックを作っておき、OFFにした状態でスタンバイ、出なかったときにONにするということをしていました。
 今回はB帯デジタルでの接続でした。Bluetoothでの接続は考えておりません。Bluetoothだと不安定ですので、さすがに怖いですね。なお、1/4λのアンテナが外せないのですが、萬劇場の客席後ろから舞台裏までは問題なく通じました。
 効果については、上記した通りです。まあ、違和感をへらすのが目的ですから、お客さんが気付かないのが正解です。ですので、誰にも気づかれないまま、そっと片づけるのが大成功なのです。だから、、、まあ、、、気付かないよね、、、うん。。。いいもん楽しかったから。。。