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「ティアムーン帝国物語 THE STAGE II
~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~」

舞台音響(プラン)

ポスター

公式HP

スタッフ、出演者はHPを参照ください。
主催:TOブックス
原作:餅月望
脚本:西瓜すいか
演出:石毛元貴(milestone)
舞台監督:田中聡
音響:iland.va
照明村山寛和:
美術:荒川真央香
大道具:S-CASE
衣装:真野真由美
  GOLDEN STEPS衣装部
振付:新木美優
殺陣:桐山トモユキ
   (TEAM風雷Bow)
演出助手:黒川一将
  (劇団25、6時間)
プロデューサー:神田明子
制作:山本直也(東京舞台製作)
会場:六行会ホール

<出演>
平松可奈子
堀田怜央
及川洸/福山聖二/佑太
上枝恵美加/吉川日菜子/草場愛
竹鼻優太/山口翼/霜田哲朗
森下竣平
歌倉千登星/藤崎朱香/花井円香/入江怜
東達也/誠仁
芦澤梨沙/武田あいか/山岡亜珠紗
山田陽大/金純樹/亀井陵市
飛鳥/伊東桃矢
鳥居みゆき

資料

仕込み図 回線図

ざっくり解説

概要

 去年新宿村Liveで公演されたティアムーン帝国物語の舞台、その2作目です。実は前回すこしだけ絡んでおりまして(結果としては何もしていない)、その縁で今回誘ってもらいました。縁とかあるとねぇ・・・ということで引き受ける事になりました。今回もTOブックスが主催です。
 ティアムーン帝国物語(以下ティアムーン)は、贅沢大好き高慢王女がギロチンで殺された瞬間に過去にさかのぼり、人生をやり直す物語。今回はその2作目で、前回の続きですが舞台ですから今回だけでも独立しています。演出は石毛元貴さん。はじめましてでしたが、ご本人も役者だからか、見ていて思わず前のめりになる気持ちが動く演出でした。主演は平松可奈子さん。前回に引き続きミーア姫を演じてるので、発生から細かい仕草までよく作られていて、素敵なお姫様でした。また、ほぼ神の目線を持つ「クロノ」役に鳥居みゆきさん。芸人の方でも有名な方ですが、繊細かつエネルギーを持って舞台に立たれる素晴らしい役者さんでもあります。なお、クロノにはピンマイクつけてもらい、ストーリーテラーとしての仕事を音響からも手伝っています。
 今回の会場は品川にある六行会ホール。客席300ほどのホールタイプの劇場ですね。良い芝居が行われてきた空気をまとう、良い劇場です。特にステージの奥行きがあるので工夫次第で色々なことができるのがいいところだと思っています。
 今回は選曲からオーケストラ音源が多く、迫力をちゃんとだせるように頑張りました。

サウンドプラン

 今回の作品は中世っぽい世界観で、オーケストラ曲有り、ポップス曲有り、ダンス有り、殺陣ありという盛り沢山なエンタメ舞台です。出演人数も少なくなく、衣装がドレスや貴族っぽい感じのものが多いので、低音が強すぎても行けないですが、音が負けても面白く有りません。そんななかで作っていくので、全体がしっかり出るようにプランニングしました。
 今回の劇場は上記通り品川にある六行会ホールでの公演です。奥行きがある劇場、と言いましたが、今回はそこまで奥を利用した美術ではありませんでした。(奥からの出入りが多く大変そうではありましたが)。小屋の鳴りは癖がそこまでなく素直に広がってくれます。
 SPについては、劇場のメインSPが NEXO PS15×2で、普通に考えたら十分すぎるぐらい出るSPです。そこにローSPのDXS15を持ち込み、PS15の下にセットしました。これにより、PS15の位置が高くなり目の前のお客さんに音を当てずにすみ、またローもしっかり出せるようになりました。大人数には低音をぶつけるんだよ!的考えです。実際これによりかなり聞きやすく鳴ったと思います。ダンスがあるのでモニターも返せるように設置していきます。
 マイクについては、バウンダリーマイク、ガンマイクなどでどこで話しても拾えるようにセットしました。ただ、実際は皆さんしっかり声が出ているのでそこまで強く出してはいません。客席真ん中のギャラリーにSPが吊ってあり、後ろのお客さんへ向けて大きめには返すことができたので、セリフが聞こえない、ということはあまりなかったのではないでしょうか。
 クロノというキャラクターは、舞台版のオリジナルキャラクターで、主人公が過去の自分にやり直すのを導いたキャラクターです。そして、舞台上からお客さんに対して語りかけるストーリーテラーも兼ねていました。ですので、お客さんに対して語りかけるシーンではマイクの声を表に出して、「特別なキャラクター」感を出しています。(TOブックスさんの舞台だといつもやっている気がします)。SPから声が出るということだけで他のキャラクターと違う感じがするのは演劇ならではかなと思います。

システム

SPの写真

今回のSP達

○SPについて
 メインSPは劇場のPS15×2です。NEXOの15インチスピーカーで、きれいなドンシャリ、という感じのSPでしょうか。そこにDXS15をサブとして、PS15を乗せました。一応同じYAMAHAですし。。。(ちょっとちがうけど)。結果としてキレイかつ迫力がある音で鳴ってくれました。またすぐ後ろにモニターとしてCBR10をスタンド立てしてあります。出力が大きく、今回のモニターとしては十分なボリュームが出せます。
 奥のSPとして、802をバトンに吊りました。今回は後ろが黒幕なので余り目立つことなく仕事してくれました。また殺陣などの音像を下げるためにCZR10を舞台袖の目立たないところに置きました。やはり実音が下から出ていると下からちゃんと音が鳴っている印象を持てます。ただ、左右に広い音なので、センターという感じはしないので、過信は禁物です。舞台裏にはサービスモニターでSX300をおいてある、と仕込み図には書いてありますが、実際は101をおいています。(アンプは劇場のものをお借りしています)
 劇場のSPでプロセSP、客席の中通路上のギャラリーにあるSPをお借りしました。主に音声をそこから流しています。
○マイクについて
 バウンダリーマイクTM90Bを5枚、舞台つらにおいてあります。2階向けのガンマイクを3本バトンからではなく、さらにその上のギャラリーから吊っています。角度がつけられないのでバトンに吊ろうと思っていたのですが、他のセクションとの折り合いでやめました。ですが、かなり良い場所に連れたので、全く問題なく音を拾うことができました。後ろ向きと一度ある寝ながらいうセリフのためにCX500を3個、美術の中に隠してセットしました。こちらは美術に合わせて白くすることでほとんど目立つことなくセットすることができました。
 また上記の通り、クロノ役の鳥居さんにはピンマイクCX500をつけてもらっています。WLは劇場のShureULXをお借りしました。CX500はいわゆるshure規格なのでShureのワイヤレスで問題なく使用することができます。ピアノ線でつくった自作のヘッドセットにつけて芝居してもらいましたが、お芝居の邪魔にならないよと言ってくれて安心してました。一回も落ちることなく、素敵な声を届けられたと思います。
○卓周りについて
 ミキサーは劇場のM7-32をお借りしました。すべてのフェーダーが見える素晴らしい卓です。反面、カスタムフェーダーなどの機能がないので、演劇だとすこし使いにくい部分もありますが、実際使い始めればほとんど気になりません。卓にadat 入力がついてなかったので、MYカードを持ち込みました。PC、I/OはMacBookPro15"、PresonusStudio192です。殺陣サンプラー用にはMacBookPro13"+TC StudioKonnect48でやってもらいました。

感想

 六行会ホール、かなり久々に入りました。いい空気が流れている、良い劇場だと思います。地下3階に該当するので、低音も出し放題、ってのもあります(笑)ありがとうございました。
 作品としては、みんなキレイなドレスを着ていて、それで踊るので見ていてほんとに素敵な時間になりました。激しいバトル等があるわけではないのですが、主人公のニーア姫の頑張りにみんなが感化され、全員で良い方向に進んでいくストーリーは、このコロナ禍という環境の中で見るには本当にちょうど良いエンタメ作品になったのではないでしょうか。
 それにしても、みなさん、ヒールやブーツであんなに踊れるのってすごくね・・・?ってなりました。ヒールで踊るってホントすごくてですね、とくに主人公の平松さんはヒールなのに踊って走って、あんな姿勢やこんな姿勢。。。すごい。。。。ってなります。鳥居さんもあんなに高いブーツで。。。みんなすごいです。