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「小倉美春が寄せる光粒子世界への深思 シュトックハウゼン ピアノ曲I-XⅠ全曲演奏会」

コンサートPA(プラン)/録音

ポスター

公演HP

スタッフ、出演者はHPを参照ください。
<出演>
小倉美春
<曲>
KarlHeinz Stokhausen:Klaviersucke Ⅰ−ⅩⅠ

カールハインツ・シュトックハウゼン:ピアノ曲Ⅰ−ⅩⅠ
会場:トーキョーコンサーツラボ

資料

仕込み図

ざっくり解説

概要

 去年の12月にも開かれた小倉美春ちゃんのコンサート、今回はシュトックハウゼンのピアノ作品集です。さっそく前回と同じセットで。。。となるところですが、実はこの週はほかの現場が重なっていて、機材が一部変更されています。そこまで大きな変更はありませんが、ちょっとその辺りだけお話ししようと思います。ちなみに、基本的には前回のコンサートと同じですので、今回の説明は短めです。
 あと、今回は2016の競楽でみはるちゃんとやった作品ⅩⅣをやりました。もはや懐かしい。。。(苦笑 現代音楽もすこしぐらいなれてきたのでしょうか。
なお、今回のオペは竹下好幸さんにお願いしました。
あと、写真一枚も撮ってませんでした・・・

サウンドプラン

 今回はシュトックハウゼンのピアノ作品集です。もともとの予定では内部奏法などは予定しておらず、ピアノ一本勝負でしたが、3日ぐらいまえに「アンコールで作品ⅩⅣやろうとおもってるんです」と言われました。この作品ⅩⅣというのが、内部奏法、鍵盤を引かずに叩く奏法、さらに途中にボーカル(数を数えたりなにか口三味線でいったりする)があるという、まー素晴らしい曲です。とはいえ、もうシュトックハウゼン先生と美春先生に鍛えられているのでそこまで慌てずにマイクを足して対応することになります。(笑
 会場は前回と同じ東京コンサーツラボ、 12月に2回やりまして、今回もお世話になります。小屋の反響などについては12月の「7人の作曲家展」前回のコンサートの記事を参照してください。
  前回はSPの配置などはシュトックハウゼンのレジュメを参考にやりましたが、今回もほぼ同じような構成になりました。ただ。前回以上にPAの音量が大きく出すので、SPの位置の調整には試行錯誤しました。具体的には、SPからの音が奏者に聞こえ過ぎてしまって演奏しにくい、ということでした。部屋の残響がない代わりにリバーブを気持ち強めに出していたのですが、これの音が聞こえ過ぎてやりにくいとのこと。これは、ここ数ヶ月ライブをしておらず、ホールでもやっていないため部屋での練習の音になれてしまったのではないか、ということでした。ですので、できる範囲でSPを前に出して、奏者とSPを離しました。今回のメインSPのCZR 12は横への拡散範囲が広いSPですので、すこし前にだすだけでもかなり印象が変わって良かったみたいです。

音像イメージ

音像イメージ

 SPのチューニングはフラットに鳴ってもらうよう気になるところだけEQで削りました。部屋鳴りがほとんどしないので、全体的にホールリバーブを薄く足して少し大きい空間の感じを出しました。一部の曲はピアノのペダルの開け方が演奏に組み込まれているので、それについては大きめにPAしています。またニアマイク、鍵盤叩き用のIsomax、W/Lヘッドセットは後ろのSPからも音をだしています。特にisomaxは強めに出していて、なんとか音量を稼ぎたいという意図があります。また、作品ⅩⅣはかけるリバーブの種類を変え、前後のバランスも変えてあります。作品がPAが前提の作品なので、リバーブの印象も変えることにしています。 録音については、前回のとほぼ同じですので、そちらの記事を参照ください。

システムについて

○SP
 メインSPにCZR12 、客席後ろのSPにDXR12をスタンバイしました。メインSPの配置については先述の通り、前回より前に出してあります。前回がマイクの位置とほぼ同じだったとしたら、今回はそこから1M弱ぐらい前に出している。これだけでも奏者への音の返り方は変わります。やはりスピーカーの場所、という物理的要因はとても大事ということですね。
 後ろのSPはDXR12というパワードSPです。スタンドでCZRと同じぐらいの高さで出しています。デジタルアンプの鳴り方が非常によいので、良い音でなってくれます。これのパッシブ版を僕は待ち続けているのですが、一向に出てくれません。どうですか、ヤマハさん。。。(2回目)
○マイクについて
 ニアマイクにaudiotecnicaのATM350×2、ホール狙いでKM 184、ローの響きをひろうラージダイヤフラムにAT4050をセットしました。ニアマイクは内部操法があるので、弾くピアノ線のあたりを狙っています。ATM350は今回初めて使ったのですが、癖がなく綺麗に拾ってくれましたね。ペンシルマイクは反射板の音も入るようにすこし上からホールを狙っています。ロー狙いは前回と同様です。また、作品ⅩⅣのために鍵盤を弾くのでなく叩く音(非常に小さい)を拾うためにIsomaxC2を蓋のところに弱いテープに貼ってあります。演奏の邪魔にならない且つ音を拾うのにisomaxの薄いマイクは最適でした。指向性もありますので、弱い音を拾うのには良いのではないでしょうか。 また、途中で数を数えたりするので、ワイヤレスのヘッドセットを準備しました。Line6のXD-V75とJTSのCCX-500FHWの組み合わせです。演奏会ですが、演劇ではないのでとくに隠すことなく口元に近いマイクを使っています。アンコールの拍手をもらった後にワイヤレスマイクを装着しました。
○ミキサーなど
 今回もM32R+DL153の組み合わせです。素晴らしい音ですね。
  今回もリバーブをすこし足してあげて、会場の響きを表現するようにしました。具体的にはリバーブタイムが1.2sぐらいです。また今回の作品のうち「作品Ⅶ」はペダルでホールを開けて本当に小さく弾くという曲で、奏者から大きめにだしてほしいと言われてこの曲だけ5dBぐらいピアノとリバーブの音量をあげています。上記の作品ⅩⅣについてはタイムが長いリバーブを別に準備しました。これは作品として「PAしてる感」を出すのと同時に、鍵盤を叩く音やボーカルなどの音が後ろから出ているのを分かりにくくする狙いがあります。
 また、今回も録音をマルチで行っており、M32RにLiveカードを装着して、PCをUSB接続しDAWで録音しています。

感想など

 今回久々に作品ⅩⅣをやりましたが、前回と比べると作品へのPAからのアプローチはできたかなと思います。PAは料理で言えば調味料程度でしかありません。ピアノで弾くことへのアシストはできませんが、聞き手との間にPAを挟む時にどんな「ごましお」をかけると効果が高いか、ぐらいはできたかなーと。 まあ、それが過ぎるとただの邪魔でしかなく、PAとしてはできるだけバレないようにゴマシオかけるか、というのも大事なアプローチだなと改めて今回思いました。

まあ。。。現代音楽は相変わらずさっぱりわからないんですけど。。。アハハ